七年目の熱情【1】 ―いつからか君を― (直哉視点)
一成(かずなり)と初めて会ったのは、もうずっと昔のこと。
まだ小学校にあがる前だった。
家族三人で住んでいたアパート。
部屋の隣に引越してきたのが、一成とその母親だった。
当時高校生だった一成は、まだ幼さが残るもののオレから見ればすごく大人で、優しげに微笑む姿にひと目で気に入ったのを今でも覚えている。
それからは両親が仕事に出て家にいないときは、ほとんどを一成の家で過ごした。
今思えば一成も勉強や友達との付き合いもあっただろうに、嫌な顔をひとつもせずに両親が帰ってくるまでの間、一緒に遊んでくれた。
頭が良くて、優しくて、格好よくて、自慢の兄のような存在だった一成。
それが変化したのは、いつだったのか。
いつのまにか“兄”から“好きな人”へと変わっていた。
胸のうちに秘めていた気持ちを隠し通すのが辛くなって、もう告白するしかないと決心した13歳のある冬の夜。
大学を卒業し司法試験に合格した一成は、皮肉にもその日、弁護士となるべくここを離れることをオレに伝えた。
あまりの驚きとショックに結局気持ちを伝えることないまま、一成は遠くへ行ってしまった。
あれから七年。
オレは大学生になっていた。
学校で講義を受け、バイトをし、休日には友人たちと遊ぶ、ごく普通の生活。
それなりに楽しかったが、オレの心にはずっとぽっかりと大きな穴が開いたような空虚感があった。
女とも男とも付き合ったが、一度も本気になることはなかった。
今でもオレは、一成への想いを断ち切ることが出来ないまま、日々を過ごしていた。
閉じる