七年目の熱情【4】 ―主導権― (一成視点)
慌ててキッチンへ行った直哉の姿にくすりと小さく笑う。
以前ここで暮らしていた頃から、直哉が自分に思いを寄せていることには気付いていた。
それも多分、本人が自覚するより先に。
一成自身も、当時から直哉のことを近所の子供としてなど見ていなかった。
初めて会った日からずっと、ひとりの男として、直哉をそういう目で見ていたのだった。
それこそ、どうにかしてしまいたいという危うい欲望すら含めた意味で。
だが、直哉は当時まだ子供だった。
幼い子供を自分の欲望だけでどうにかしようとは、さすがの一成でも思わなかった。
だから直哉がある程度成長をし、自分もそれなりの地位を築いたとき――そのとき、直哉を奪いに来ようと考えていた。
常識からすると、信じられないような考えだった。
しかし、それをやってしまうのが、一成という男だった。
直哉は一生知ることはないだろうが、一成はこの七年間、毎日調査員に直哉の生活の一部始終を調べさせ、報告させていたのだ。
一成は直哉と会わずとも、その成長を本人の知らない場所で見守っていたのだった。
今年、直哉は成人した。
そして一成も弁護士として独立し、事務所を構えるまでになった。
七年待ってようやく、直哉を迎えにくる準備が整ったのだ。
直哉がいなくなったリビングで一成はひとりほくそ笑んだ。
すべての主導権は一成の手の中にあった。
閉じる![]()