七年目の熱情【7】   ―もう、大人なのに― (直哉視点)


あまりの痛さで歩けなかった腰は、一週間も経つとすっかり元通りに戻っていた。
直後は辛さで休んでしまったバイトに、今日こそはと足を向ける。

先日、一成に再会し、そして抱かれた。
時間が経つにつれ、あれは本当に現実だったのかと不安になってしまう。
結局あの時、どうして自分を抱いたのかという疑問を一成に向けることはできなかった。
そして、長年の想いを打ち明けることすら。
あれから一成からの連絡は一度もなかった。
別れ際に「また連絡する」と互いの携帯番号を交換した。
それが唯一、一成と再会したことが現実だったことを確認できる証拠だった。
オレは毎日、携帯電話に登録された番号を眺めては、かけてみようかと悩んだが、結局今日まで一度もかけることは出来なかった。
「だって、かけたところでなにを話せっていうんだよ・・・」
ただ単に声が聞きたい。
今度、いつ会えるのか知りたい。
いきなり電話を掛けて話す内容がこれでは、まるで恋人同士のようだ。
自分たちはそんな関係ではないのに・・・。
体を繋げたことを後悔してはいなかった。
一成はとても優しくて、それこそ恋人になったような錯覚に陥るほどだった。
幸せだった。
しかし、よりいっそう一成を想う気持ちが膨らんで、苦しくなったのも事実だ。
自分の想いは報われない。
先日抱かれたとき、同時にそれを痛感して、ひとりになったあと泣いた。
もし好きな相手だったら、抱く前もしくは後になにか甘い言葉でも囁いてくれるだろう。
一成はオレを抱いたあと、優しく髪を撫でてくれキスをしてくれたが、ただそれだけだった。
なんの言葉もなかったのだ。
「・・・オレも未練たらしいな」
一成はもう立派な大人なのだ。
幼い頃のように、いつもオレの相手をしてくれる、自分だけの一成ではない。
あの頃からちっとも成長できていない自分に嫌気がさす。
「再会できただけでもいいじゃないか・・・」
無理矢理ポジティブに考えることにして、オレはバイト先へと足を運んだ。


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